January

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「…えっ」 会長が、目を丸くして私を見下ろしている。 「…会長のそういうところ。好きです」 ー…好きって伝えないって思ってたのに。 ほら、こうやって、簡単に私なんてブレてしまう。 会長には。 会長には、振り回されてしまう。 でも、それが嫌じゃないんだから。 本当に、私は、おかしい。 「何動揺してるんですか」 会長が、私を見て固まっている。 後ろに人が詰まってますよ、というと、慌てたように歩き出した。 「…くるみちゃんって、たまに、こっちが予期せぬ行動するよね」 「私も会長に対してそう思ってるんで、お互い様ですよ」 言わないって決めてたけど。 口を滑らせたら、案外、すっきりしてしまった。 言わない、言わない、って必死に口を閉じているよりも。 ずっと、ずっと、楽だった。
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