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指先が、震える。
寒さじゃない、緊張で。
「ー…くるみちゃんに、聞いて欲しいことが、あるんだ」
その言葉が、どんな言葉なのか。
想像できるような…だけど、思い上がってしまいそうだから、知りたくないような。
「聞いて、くれる?」
だけど。
私は、会長のその言葉に、頷くことしか出来ない。
「…はい」
だって、好きだから。
この人の強いところも、弱いところも。
知ったうえで、それでも。
私を信じてくれる、強くしてくれる。
そんなこの人のことが、どうしようもなく、好きだから。
会長の指を、ぎゅっと握り返す。
私の指より少しだけ太くて、骨ばっていてー…熱いのが会長の指なのか、私の指なのか、もう、わからないけれど。
「ー…待ってます。会長のこと。だから、受験落ちたら、嫌ですよ」
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