April

5/38
前へ
/315ページ
次へ
そんなことを考えながら重たい足を引きずって歩いていると、とうとう生徒会室に着いてしまった。 …扉を開けたくない。 実は、生徒会役員に指名されたことに、なんの心当たりもないというわけじゃないのだ。 それがさらに、ここまで私の足取りを重くしていた。 素直に入ったら終わる気がして、扉に手をかけながら何度も躊躇していると、後ろから足音がして私の名前を呼んだ。 「やぁ、くるみちゃん。生徒会入りおめでとう」 聞き間違えるはずが無い。 ギギギギ、と錆びたロボットのような動きで後ろを振り返る。 「…会長…」 「そんな睨まないでよくるみちゃん」 生徒会長、小倉慧。 私を生徒会役員に指名した張本人が、もう花が咲きそうなニコニコ笑顔で、そこに立っていた。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加