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目の前に、先程蹲っていた男が、ナイフ片手に憎悪の目を亘に向けていた。
「野郎!」
男は歯ぎしりをした。仲間が邪魔で攻撃に移れないのだ。
亘に腕を捻り上げられた男は、苦痛に顔を歪め、持っていたナイフを地面に落とした。
しばらくの間、睨み合いが続いた。
その緊張の中、先に行動を起こしたのは亘だった。
不意に亘は盾代わりにしていた男を、前方に押し出した。
よろよろと前に出た男の体が、仲間の男の視界を塞ぐ形となった。
男が急いで視界を塞いだ仲間を払いのけると、そこには亘の姿はなかった。
「リャアー!」
頭上から響く気合いに顔を上げた男の目の前に、亘の足の裏が迫った。鷹の一撃のような亘の跳び蹴りは、男の顔面に見事にヒットした。
鼻がつぶれる感触を残して、男は吹き飛んだ。
亘が地面に着地した時、もう一人の男が亘の背後から躍りかかった。それを感じた亘は、そのまま体を沈めると、右足を地面スレスレに旋回させ、襲撃者の足を掃った。
突然、足を掃われた男はバランスを失い、地面に強烈なキッスをした。
その後頭部に亘の手刀が打ち下ろされた。
「グッ」
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