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バンはタイヤを鳴らしながら、地下駐車場を飛び出していった。
「まて!」
警備員は手にしたM36をバンに向け、引き金を引いた。
二発の銃声とともに、ライトバンのテールランプが割れる。しかし、バンは止まることなく、見る見る遠ざかっていった。
警備員は、急いで近くの非常ベルのボタンを押した。
建物内部をけたたましいベルの音が響き渡る。
途端にあちこちの窓に明かりが点り、建物全体が騒然となった。
応援に駆けつけた警備員達が、すぐに逃走したバンの後を追おうと車に乗り込みかけた時、一人が突然叫んだ。
「ダメだ、タイヤがパンクしている!」
「こっちもだ。」
見ると、残っていた全ての車のタイヤがパンクしていた。
「くそ、やりやがったな。」
警備員全員が遠ざかるバンを見ながら地団駄を踏んで悔しがった。
男の運転するライトバンは、すさまじいスピードで建物を出ると、まっすぐゲートに向かった。
前方に守衛所とゲートが見えた。
その時、ヘッドライトの丸い明かりの中に守衛所から警備員が飛び出してきた。
その手にはS&WM19が握られている。
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