プロローグ

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 トゥルルル、トゥルルル、ガチャ、  「もしもし、室長ですか?」  『川端(かわばた)君か、何のようだ。』  「申し訳ありません。例の物が奪われました。」  『なに?』  「今、追っ手をやっています。」  『不祥事だな。川端君。』  「申し訳ありません。」  『で、奪った者は何者だ。』  「部下の話ですと、一条という若い所員のようです。」  『一条?』  「ハイ、こちらとしても厳重に警戒していたのですが。」  『言い訳はいらないよ。川端君。すぐに捕まえたまえ。』  「ハイ、それはもう。例の物と一緒ですから、いつまで逃げおおせるものではありません。すぐに捕まえてみせます。」  『たのむぞ。あれが世間に知られることはあまり好ましくない。』  「ハイ、わかっております。室長。」  『何かわかったら、すぐに報告したまえ。』  「ハイ」  『くれぐれも頼むぞ。川端君。』  「ハイ、かしこまりました。」  『ご苦労だった。』  「ハイ、失礼します。」  ガチャ、ツー。
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