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チャイムは家の主人を急かせるように、三、四度鳴り続けた。
「はい、はい、今出ますよ。」
亘は本をテーブルの上に置くと、すぐに玄関に向かった。
ドアを開けると、そこにはサングラスをした見知らぬ男が立っていた。
亘の全身に警戒心が走った。
「やっと見つけましたよ。一条亘さん。」
しゃがれた声で男は亘に向かって言った。
亘は急いでドアを閉めようとしたが、男の手がそれを阻んだ。
「やっとの思いで会えたんです。そのようなつれない事はしないでください。」
男は口の端を釣り上げながら、玄関の中に足を踏み入れた。
亘は後ずさりしながら身構えた。
「無駄な抵抗はよした方がいいと思いますよ。」
男の手にいつの間にかCz75が握られている。男は銃口を亘に向け、土足のまま上がり込んできた。
「おれをどうしようというんだ。」
「なあに、ちょっと獲物を捕らえるエサになってくれればいいんですよ。」
亘は男の顔とCz75を交互に見ながら、ゆっくりと後ずさった。
その頃、奈美は兄への誕生日のプレゼントをあれこれ考えながら、小道を歩いていた。
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