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プロローグ
静寂と闇が建物内部を支配していた。
深夜、一時。
全てが眠りにつく頃。
誰一人いない地下駐車場に、一人の男が姿を現した。
大きな荷物を両腕に抱えている。白いシーツを被せた等身大の物だ。
男は一台の白塗りのライトバンに歩み寄ると、後部のドアを開け、その荷物を後部座席にそっと横たえた。そして、急いで運転席に乗ると、エンジンキーを廻した。
その時、一筋の光が男の横顔を照らした。
「だれだ!」
男の体がハンドルを握ったまま硬直した。光の後ろに、警備員が緊張した顔つきで立っている。
警備員は、手にした懐中電灯でバンの中の人物を確かめようと、ゆっくり近づいた。片方の手には、いつの間にかS&WM36が握られている。
警備員が運転席の真横に立った。
懐中電灯の光がまともに男の顔を照らした。
「あ、一条さん。」
意外な人物に警備員の緊張が一瞬緩んだ。
その機を逃さず、男はドアを思いっきり開けた。
ドアに突き飛ばされた警備員は、コンクリート製の床に不様に尻餅をつき、警備員が起きあがろうとしている間に、男はドアを閉め、アクセルを目一杯踏み込んだ。
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