……義兄弟だから(挿し絵)

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「……飴みたいに食いやがって……っ」 エアコンのろくにきいていない脱衣所で、お互い全裸の状態だからだろうか。吐息や触れ合う肌がやたら熱くて、頭がぼうっとしてくる。気が付けば、口淫で散々感じてしまった光も勃起していた。 「お前も……勃ってるし」 それを勝行に握られ、激しく擦られてキスどころではなくなってしまう。しかもそのすぐそばで押し付けられているのは、全然萎えていないガチガチの巨根。あんなに出したのに、嘘だろ……光は絶句した。 「ふあぅっ、んんっ……ああっ……にぎん、なあ……っ」 「お返し……してやる……っ」 ふうふうと呼吸を荒げながらも勝行は執拗に吸いつき、(なぶ)る。光の唇、耳、首から胸元、腹、太もも。次から次へと移動しては赤い痣花を作り出していく。時折歯も立てられ、全身を捕食されているような感覚に光の身体は悲鳴をあげる。 「ぃあっ、あ、ああん、やぁあっ」 こんなのはいつものキスじゃない——上からも下からも激しく快楽を与えられ、光は喘ぎ声が抑えられない。必死に抵抗しようと勝行の腕を掴むも、いつものシャツがなくて、筋肉質な二の腕に直接しがみつくしかなかった。べとつく汗に塗れ、無理、むりぃっと半狂乱になって泣き叫ぶも、勝行の獰猛な愛撫は収まるどころかますます調子に乗って激しくなる。ふと表情を覗くと、ニヤリと歪んだ口元が見えた。 ——ゾクッ。全身に悪寒が走る。 まるで別人のようになってしまった勝行は「お前、乳首弱かったっけ?」と嘲笑うように囁きながら、意地悪く胸の蕾をコリコリ甘噛みする。反対側の乳首は指でくりくりっと転がして撫でる。 「あっ、うっ、それだ、め、ぇ、あ、あああっ……」 「やっぱり……これだけでイクとか、エロすぎ」 気づけば光の全身は痙攣したままピンと伸びきり、だらしなく開いた股間からは白濁液をぴゅるぴゅると飛ばしていた。乳首への刺激だけが原因ではないはずだが、もう何が何だかさっぱりわからず涙が零れた。 脱力してふらり倒れそうになるも、寸でのところで勝行に支えられた。しかし勝行は休む間もなく馬乗りになって再び乳首を舌で転がしながら、光の二倍以上はありそうな硬い一物をゴリゴリと擦りつけてくる。互いの粘液ですっかりぬめりを増したそこは、ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てて滑りよく絡み合う。 「なあ……俺のも、一緒に擦って」 「え……ま、まって……はぅっ……あ、あああ……っそれ……きもちぃい……ぃ……」 急に積極的になった勝行に戸惑いを感じるも、気持ちよすぎて光はすっかり我を忘れていた。前同士を擦り合わせるなんて、桐吾ともやったことがない。こんなセックスもあるなんて知らなかった。 待って、まってとうわ言のように叫ぶも、上手く言葉が紡ぎきれない。さっきイッたばかりなのに、また何かがせり上がってくるのがわかる。 (うしろ……後ろも、さわって、ほし) 「何、お前……自分でケツの穴弄ってんの?」 「……!」 ふいに耳元で囁かれ、享楽にふけっていた光の心臓は跳ね上がった。無意識に自分で後ろを解していたのだ。勝行の武器を散々擦った後の、濡れた指で。 (嘘だ……) 思わず首を横に振るも、指は確かに入り口に精液を塗りたくり、ぐちゅぐちゅと音立ててかくはんしていた。誰に命令されたわけでもないのに、早く入れてくれと言わんばかりに準備している自分の身体がおかしすぎる。光は半泣きになりながら「見るな……見るなぁ」と訴えた。それでも、指を抜きたくない、抜けない。勝行の目の前で、こんなはしたない行為はしたくないのに。 「ちが……手が、手が勝手にぃ……んんっ」 けれど、これがもし本当にセックスで——突然、勝行がヤリたくなったのであれば——無意識に受け入れる気満々だった。 「……全く。本当に行儀悪いなあ? お前の口と手は……」 その様子を冷ややかな眼差しで見下ろす勝行は、光の手に自分の手をそっと重ね、耳元でねっとりと囁いた。 「この行儀の悪いお前の口と指……全部お仕置きかな?」 「……っ」 言うなり、光の指を後ろから強引に押し込まれて光はひゃんっと啼き声をあげた。だが逃がさないと言わんばかりに両手首を捕まれ、唇はがっぽりと塞がれ、どんなに腰をくねらせても腕を動かしても微動だにしない。後ろに詰め込まれた指も痙攣しそうだが、前から凶悪な前張りも引き続きゴリゴリと光の雄部分を押しあげてくる。 やがて後ろの孔にはもう一本、自分のものではない指が差し込まれていた。それは中でゆらゆらと内壁を撫であげながら、二本絡めてドリルのようにぐいぐいと奥に入ってくる。 「あぁあーっ、や、め、イ、イくぅううーっ」 「は? さっきイッたばかりなのに、もう?」 「はあっ、はあっ……あ……ああ……っ」 「可愛いちん〇からなんかいっぱい垂れてるけど? 腰も勝手に揺らして……我慢できないのかよ、このエロばか」 どんなに痙攣していても、漏らしていても、勝行の執拗な愛撫や攻撃が緩むことは全くない。光は泣きながら抜いてと懇願するも、聞いてもらえない。 それどころか、意地悪なことばかり言っては光の耳を食み、れろれろと卑猥な音を聞かせてくる。何度も何度もイカされ、光の意識はすっかり朦朧としていた。もう喘ぎ声すら、枯れて出ない。与えられる快感の波ばかりがいつまでも続く。 こんなにたくさんのお返し、要らない。一度のフェラだけではちっとも萎えていなかった勝行は、あれからイッたのだろうか……? それすら、わからなかった。 「そんなエロくて可愛い顔……俺以外に見せるなよ……あの男にも……絶対、絶対にだ」 「俺がどんなに性欲我慢してたか、知りもしないくせに。無自覚に煽りやがって……っ俺はお前の、兄なんだぞ」 「ちったあ反省しろ、このバカ犬が」 ぶつぶつと一人で零す文句を虚ろな目で聴きながら、光はぼんやり考えた。 (こいつ……もしかして……親父とバトった時の……性格悪い方の勝行……なのかな……?) 普段「お仕置き」と言いながらも、小言を投げて耳を引っ張るだけで許してくれた、あの甘ったるい兄貴面とは全然人格もやることも違う。こんなお仕置き、初めてだ。気持ちいいけれど、快感も過ぎれば毒になる。 (俺、そんなに悪いことしたっけ……) 「お前は俺のもんだ……俺だけが愛していいんだ。この印は絶対消すなよ」 ガリッ。 どこかの肉片をかじり取られるような、強烈な痛覚で光は意識を失った。
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