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あるところに、大変美しく、優しい心を持った少女がいました。
少女は母親譲りの白銀の髪と、神秘的な菫色の瞳をしており、その美しさは歳を重ねるごとに、増していくようでした。
しかし、少女の母は身体が弱く、少女がまだ幼いうちに亡くなってしまいました。
少女の父親は、亡き妻を心から愛していたのですが、外交官として家を空けることの多い父親だけではよくない。子どもには母親が必要だろうと、少女のために再婚することにしました。しかし、それが悲劇の始まりだったのです。
継母は2人の兄とともに屋敷に越してきました。そして古くから使えていた使用人のほとんどを解雇し、新しく賃金が安い未熟な者たちを雇ったのです。
そうして、少女から全ての物を奪い、使用人のようにこき使い始めました。父親は外交官として国外へ派遣されていたので、その事には全く気づきませんでした。
それから、少女の扱いは日を追うごとに悪化します。
食事は一日一度。冷えたスープと固いパンだけです。少女に残されたのは、母の形見のロケットと、ヴェールだけ。継母に疎まれ、使用人から見下されても、少女は健気に仕事をこなし、本を読んで勉強しました。
しかし、少女が音を上げず健気に努力するので、継母は余計に苛立ちを募らせ、少女につらく当たります。いつも煤に塗れて働く少女は、いつしか灰かぶりと呼ばれるようになりました。
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