8人が本棚に入れています
本棚に追加
ある日のことです。
「おい、灰かぶり!今日は母上はいないから、風呂に入って体を清めてこい。それと、きれいになったら、俺の部屋へ酒を持ってこい。」
灰かぶりが仕事を終えて部屋へ戻っていると、義理の兄がそう申しつけました。言いつけの通り、灰かぶりは久々に温かいお湯を使い、体を清めました。湯に浸かりながら、お兄様はなんて優しいのだろうと、目を閉じて思います。お酒を持って行くと言うことは、きっとまたお菓子を食べさせてくれる、灰かぶりはそう思いました。なぜなら、前にもこうして継母がいない日に、お風呂に入ることを許されて、お酒を運び、甘いお菓子を食べさせてもらえたからです。
灰かぶりは、軽い足取りで義兄の部屋へ向かいます。その手には、厨房で持って行くように言われた酒瓶とグラスの乗ったトレイを持っています。グラスは三つ。来客でもあったのでしょうか。
コンコン
ドアをノックして入室すると、二人の義兄が椅子に腰掛けています。他に人はいません。
「灰かぶりよく来たな。ほら、ここに座るんだ。」
義兄は、二人掛けの椅子の隣を示して、そう言います。テーブルの上にはお菓子があります。灰かぶりが失礼しますと腰掛けると、義兄は、灰かぶりの頭を撫でて、お菓子をすすめます。言われるままお菓子に手を伸ばしていると、もう一人の兄が灰かぶりの持ってきたお酒を三つのグラスに注いでいます。そうして、三人それぞれの前にそれを置くと、
「灰かぶり、誕生日おめでとう。ほら、今日はささやかだが、お祝いだ。」
そう言って、お酒を渡してくれました。灰かぶりは恐る恐る、それに口をつけます。
「せっかくのお祝いなんだから、ちゃんと飲むんだよ?」
義兄が猫撫で声で言います。灰かぶりは美味しくないと思いながら、きちんと飲みました。顔が火照って、何となく思考がぼんやりします。そしてとても眠いなと思った時には、灰かぶりは眠っていました。
灰かぶりが目を覚ますとベッドの上でした。義兄は両手を灰かぶり顔の横について、灰かぶりに覆いかぶさるようにして、腰を振っています。灰かぶりの口からは悲鳴のような声がひっきりなしに出ていましたが、もう一人の義兄のものを咥えさせられると、うめき声へと変わりました。
翌日、灰かぶりは仕事ができず、継母によって鞭打たれました。
心優しい灰かぶりは考えます。どうして私はこんな目に合うのでしょう。何か悪いことをしたのでしょうか。どうか私に救いを。母の形見のロケットを握りしめて、毎晩神様に祈ります。
最初のコメントを投稿しよう!