誰も幸せにならない話

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そんなある日、継母は灰かぶり(シンデレラ)に言いました。 今日は、城で舞踏会が行われる。兄たちはそこで結婚相手を探すので、お前のようなモノは存在してはならない。お前は今日、この部屋から出ては行けないよ。 灰かぶり(シンデレラ)は悲しみます。舞踏会に行きたかったからではありません。舞踏会へ行けば、幼い頃ともに遊んだ"少年"に会えるかもしれなかったからです。 まだ母が生きていた頃、灰かぶり(シンデレラ)は城へ行ったことがありました。そして、城で知り合った男の子と結婚の約束をしていたのです。結婚、という約束は無かったことになっても、再会すれば何が変わるはずだと思っていた灰かぶり(シンデレラ)は涙を流します。 どうかあの方とまた会わせてください。ロケットを握りしめ、そう祈ると、なんとロケットが光りだし、魔女が現れました。灰かぶり(シンデレラ)は驚きます。 「心優しく、美しい少女よ。お前の望みを叶えてやろう。何が望みだい?」 怪しい美しさをもった魔女は艶然と微笑みます。 「舞踏会へ行って、あの方に会いたいです…っ!」 「良いだろう。では、蕪ひとつと、どぶねずみ1匹、かえるを2匹捕まえておいで。」 灰かぶり(シンデレラ)は言われた通り、蕪とねずみとかえるを用意しました。魔女が呪文を唱えると、蕪は立派な馬車へ、ねずみは馭者(ぎょしゃ)かえるは馬へと変化しました。 「その服じゃあ、行けないねぇ。ほら。」 魔女が杖で服に触れると服は美しいドレスになりました。 「この魔法は、12時には消えてしまうからね。それまでに戻っておいでよ。」 魔女はそう言って灰かぶり(シンデレラ)を見送りました。灰かぶり(シンデレラ)は魔女に感謝して12時までには必ず帰りますと誓って、舞踏会へ向かいました。その裏で魔女が嘲笑っていることには気づきもしませんでした。
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