誰も幸せにならない話

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娘が、死んだ。 最愛の妻が亡くなり、私は仕事に逃げた。妻のいない屋敷も、国も、妻がいないことを思い知らされるようで、嫌だった。幸い外交官という仕事柄、国外へ出ていても不審なことはない。 娘、最愛の妻の忘れ形見。日に日に妻に似てくる。愛していた。しかし、娘を見るたびに妻のことを思い出してつらかった。子どもには親が必要だ。わたしにはつとまらない。そう思った時、再婚を決めた。妻でないなら誰でもよかった。親戚の勧めるままに再婚をし、その者たちが屋敷へ来ると同時に、逃げるように国外へ立った。 まさか、娘をあんな風に扱うなんて。いや、違う。あいつらがどんな奴なのかすら、わたしは知らなかった。娘の為にと言いながら、私は自分のことしか考えていなかった。その結果、娘は死んだのだ。 殿下は、娘のことを好いていてくれたようだ。妻の喪があけ、私が戻り次第、婚約の話をするつもりが、私がほとんど戻ることはなかった。あの舞踏会の日、私が家に帰ってさえいえば……いや、それでどうなったわけでもないのかもしれない。娘は死んだのだ。もう、私の愛する白銀と菫は永遠に戻らない。 私のことも、奴らと同じく、処罰してくだされば……よかったのに。
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