0人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・あの時は真理子に対して誠実でなかった。傷付けてごめん。」
部屋に荷物を運び終えて、ドアを出る時、尊は真理子に背を向けて言った。
「今更。昔の事だしもう気にしてないよ。それに、・・・私、来月結婚するんだ。」
彼女は来月結婚が決まっていた。
「知ってる。」
「えっ!?どういう事?」
予想外の彼の答えに彼女は驚く。
「真理子の旦那さんになる人、俺の大学の先輩なんだ。仲良くさせてもらってたから、結婚式の招待状送って下さって。」
「えー!ビックリ。」
「先輩は俺が真理子の元彼だって知らないで送ったんだと思うけど。相手の名前がお前になってたからすごい驚いた。」
「そうだったのね。」
「お前にとったら、俺が出席したら気まずいだろ。祝福してあげたいけど俺は欠席するわ。」
「尊が良ければ、出てくれても構わないよ。気にしてないから。お気遣いありがとう。」
「ありがとな。でも、やっぱり俺は欠席するわ。ちょっと・・・、個人的な事情で。」
尊が切な気な表情で無理に微笑む。
「?尊?」
「ごめん。幸せにな。」
「ありがとう。」
彼の様子に彼女は違和感を覚えたが、聞かない方がいい気がして、真理子は尋ねなかった。
最初のコメントを投稿しよう!