そっちかよ

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一ヶ月後、真理子と久也の結婚式当日を迎えた。 教会での式で、バージンロードを歩く真理子の目には二人を祝福する多くの参列者の姿が映る。 密かに尊の姿を探したが、やはり彼は自分で言っていた通り来ていなかった。 彼が彼女をフッた事を心苦しく思っているのなら、気にしなくて大丈夫だと、幸せな姿を見せて安心させたかった気持ちもあり、彼女は少し残念だった。 (いけない、式に集中しないと。) 我に返り、共にバージンロードを歩いた父から離れて久也の元へ辿り着く。 神父の前に並ぶ二人。 結婚式の定番の誓いの言葉を述べるシーン。 「誓います。」 久也が言う。 真理子の番になる。 「ちか・・・」 彼女が言い掛けた瞬間、 バン!! 「待って下さい!!」 突然式場の真理子が入場して来た扉が開き、1人の男が現れる。 「!?」 真理子・久也とその場にいた皆がざわつく。 「た、尊!?」 現れたのは尊だった。 彼はバージンロードを早足で歩いて二人の元へ近付いて来る。 (えっ!?何!?まさか、これって、ドラマでよく見るやつ!?) ドラマとかで結婚式場に花嫁の元彼が突然入って来て、花嫁に「俺と一緒に行こう。」とか言って連れ去って行くシーンが彼女の頭の中に浮かぶ。 それと同時に、再会した日、個人的な事情で欠席すると言っていた時の彼の切な気な表情を思い出す。 (ちょっ、尊、まさか、私を・・・) 彼女は内心激しく動揺する。 「尊!?お前、欠席するって・・・」 久也も驚いている。
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