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妻も爆笑している。思わずオレも笑ってしまう。
あっという間に三十分たって、番組は終わった。
ふと気になってオレは妻に訊いた。
「さっきの指輪探してたの、あれ重要なの?」
「そうねえ、なんだか重要だった気もするわ」
「そもそもどうして指輪を? どうでもいいけど」
「あら、いけない……!」
妻の表情が真剣になった。
何かやらかした時の顔だ。
「どうしたの」
「なぜ指輪を探してたかっていうと、三文判を探してて思いついたの」
「三文判?」
「私の三文判って、指と形や色が似てるでしょ?」
「まあ、わかるようなわからないような。で、どうして三文判を探してたの?」
「どうしよう、あなた謝ってくれない?」
「誰に?」
「玄関でまだ待ってるかもしれない、宅配便の人。三文判探してて待たせてたの。それをずっと忘れてテレビに三十分も見入っちゃった……」
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