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in my dream
20XX年、とある科学者がついに人類の革新とも言える発明を成し遂げた。
その発明とは冷凍睡眠。人体を低温状態に保ち、時間経過による老化を防ぐ発明である。
この冷凍睡眠は宇宙船による惑星間の移動の間の宇宙飛行士の老化防止、食料節約、単純な時間経過(暇潰し)、の為に発明されたものだったのだが、寿命の引き伸ばしを目論む富裕層の鶴の一声で瞬く間に技術は全世界へと拡散。今では各病院に大規模の冷凍睡眠室があり、外科や内科ならぬ「冷凍睡眠科」の医師まで出来るぐらいであった。
冷凍睡眠の方法であるが、実にSF。-273.15℃を維持する凍結棺の中に人体を入れ、そのまま冷凍保存をするというもの。血液の凍結と言う問題も血液を不凍生理食塩水と入れ替えをすることで解決。血液の交換後も全身に不凍生理食塩水を循環させての生命維持も発案した科学者の治験で成功している。
血液を入れ替え、凍結棺の中に人体を入れることで、人体はそのままの状態を維持した冬眠(凍結)状態となり、不凍生理食塩水が血管を巡り心臓も脳機能も停止させないことが出来るのである。
次に解凍であるが、凍結棺の-273.15℃を解除し、季節に会わせた部屋の適温とした後、不凍生理食塩水と元の血液を直ちに入れ替えるだけである。これも発案した科学者の治験で成功している。勿論、科学者に後遺症は存在しない。科学者はこの技術を後世に伝え、更なる飛躍と発展のために何度も何度も冷凍睡眠を繰り返し、若い肉体のまま五百年の時を過ごしている。
時は流れ…… 25XX年、冷凍睡眠は最早既存技術。ついに人は冷凍睡眠を繰り返しての長寿化を成し遂げたのだった。
そして今日もまた、冷凍睡眠科に足を踏み入れる男が一人……
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