何時もと違う朝

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何時もと違う朝

 休日のはずの良太が珍しくいつもより早い時間に起きて来た。 「今日は早いね?何かあったかな?」 「あぁ……」  生返事の良太に首を傾げたが、紗耶香は朝食の準備を続けた。  食事も終わり一息ついた所で硬い表情で話があると切り出された。良太は何度も口元を間誤付かせてからようやく決心したように口を開いた。 「健太なんだけど、その、顔が、俺達のどっちとも……似てない、よな?」  紗耶香はその言葉を聞いて、あぁついにこの時が来るのかと思ってしまった。もしかしたら、気付かれずにこのまま過ごせるかと思っていたのに意外と早かった。本来なら結婚前に告げなければならなかったのに、臆病風に吹かれて言えないままここまで来てしまった。  口を開こうと思うが、先程の良太と同じように上手く言葉が出てこない。気まずい沈黙が2人を包む。しかし、このまま黙っていてもいられないと意を決して口を開いた。 「「実は」」  言葉が被り、驚いてお互いの顔を見合う。    沈黙が再び落ちるが、これ以上この空気に耐えられなかった紗耶香は急いで口を開いた。 「あのね、実は私、良太に言っていなかったことがあるの。本当は結婚前に伝えないといけなかったのに、嫌われたらと思うと怖くて言い出せなかった。私……」
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