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結局、あたしたちはカズヤが戻って来るまで部室で待つハメになってしまった。
部室の鍵を持っていかれているので、帰るわけにもいかない。
「カズヤの性格ってどうにかならないのかな」
窓の外を見つめながら、ホナミが呟いた。
「今さら変えられないんでしょ」
あたしはため息交じりに答える。
カズヤの傲慢さは中学時代から変わっていない。
高校に上がれば少し落ち着くかと思ったが、キックボクシングの大会で成績を残すようになってから、我儘に磨きがかかったように感じられる。
1つの世界で有名になったからと言って、なにをしても許されるわけじゃないのに、カズヤはまだ自分の力にのぼせているようだ。
それから1時間ほど経過した時ようやくカズヤが戻って来て、あたしたちは帰れることになったのだった。
☆☆☆
「ねぇ、昨日のスペアキー、やっぱりヤバイんじゃない?」
教室へ入ったところでホナミが駆け寄って来て耳打ちをしてきた。
「カズヤが1人でやったことなんだから、ほっとけばいいよ」
正直、これ以上カズヤの我儘に付き合わされるのはごめんだった。
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