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現代とは違って無料でプレイできるゲームはほとんどないかったから、昔は一本のソフトを何か月も、時には何年もかけて遊んでいたらしい。
「ゲームは最後までちゃんとクリアする。ゲームにはちゃんと終わりがある。それが、昔のゲームだよ」
画面が白黒で表示されている、小さなゲーム機を操りながら、先輩はそう言った。
何度もアップデートされ、いつまでも遊べるゲームももちろん楽しい。
しかし、終わりがあるゲームも達成感があっていい。
あたしはどちらも好きだった。
あたしたち6人は思い思いにゲームをして遊んで、気が付くと窓の外が暗く鳴り始めていた。
10人ほどいた先輩たちも、いつの間にかみんな帰ってしまっている。
「そろそろ帰らないと」
あたしはモニターの電源を切って大きく伸びをした。
こんなに思う存分ゲームをしたのは久しぶりのことだったから、満足感が体を支配している。
「そうだね。ここ遊園地みたいで楽しいね!」
ミホが頬を高揚させてそう言った。
ゲームだらけの部屋を遊園地と比喩するなんて、まるで色気がない。
でも、それはあたしも同じだった。
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