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駅舎の改札口には父が迎えに来てくれていた。
(少し痩せたかな?)
昔ながらの景色にいつもならホッとするところだが、父と二人の車内には重苦しい空気が漂っていた。
「お父さん?おばあちゃんのことだけど・・・」
「あぁ、ほんと突然だったんだ。お医者さんが言うには歳もとしだったから少しずつ心臓にも負担がかかっていたんじゃないか?ってことなんだが・・」
そう言った父の表情からは納得しきれてない様子がすぐ見て取れる。
「毎朝必ず散歩に行って、『 誉』さんのお掃除やお世話をしていたんでしょ?畑も普通にやってたみたいだし」
「そうなんだよな・・・だから父さんとしても歳と言われればそうだろうけど、納得出来なくって」
「変わった様子とか、胸の痛みとかなかったの?」
「それが全然なんだよな・・・あ、そう言えば、最近になってちょっとおかしいな、って思ったことはあったんだが、いや、それが原因とは思えないな」
「何?そのおかしいことって?」
「いや、最近ばあちゃんがやたら熱心に『誉』さんとこ行って帰ってきても部屋にしばらく閉じこもってる時があったんだよ」
父にすると閉じこもっている時間はそれほど長くなく、以前もお裁縫などをするときは部屋でやっていたので特に気にすることではなかったらしいのだが、その時はなんとなく部屋からの空気や音が違っていたような気がしていたと言うのだ。
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