幼なじみと見えないペット

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「やっぱり、ハチは賢いねー!」  コンビニで買い物を済ませ部屋に戻った途端、ともは叫ぶように言った。  俺も今日のことで、ハチが予想以上に賢い犬だと分かった。  ハチがあの家に俺達を連れて行ったのは、庭で倒れている老人を見付けさせるためだった。  倒れている人を見付けて慌てている俺達に、近所の人が声をかけてくれた。俺が、庭木の花を見ていて人が倒れているのを見付けたと伝えると、その人はすぐ救急車を呼んでくれた。  熱中症で倒れたらしいその人が救急車で運ばれるのを見送ると、後のことは近所の人達に任せ、コンビニでアイスとお菓子を買って、家に帰った。 「正直、ハチがここまで賢いとは思わなかった」  思わずそう呟くと、ともが「ハチが、あっくんを見て鳴いてるよ。ほめられて嬉しいみたい」と教えてくれた。 「ハチは倒れてるあの人の元に、俺達を連れて行こうとしたんだね。だから、いくら呼んでも戻って来なかったんだ。ハチは本当に賢いね」 「確かに」  主人の命令より人命を優先できるってのは、かなりすごいと思う。 「でもさー、1つ分からないことがあるんだけど……」 「なんだ?」  ともが分からないのに俺に分かるわけがないと思いつつ、一応聞いてみる。 「なんでハチは、手を咥えて来たんだろう。そもそも、あの動く手は何だったのかな? 倒れてる人の近くに、あの手はなかったと思うんだけどさー」 「ハチが咥えて来たのは、左手か?」  ともの話から、浮かび上がった仮説を確認するために尋ねる。 「えーっと……そうだね、左手だった。あっくん、よく分かったね」 「やっぱり……」 「何? 何か分かった?」  なかなか信じられない話だ。まあ、ともの話のほとんどは信じられないようなことばかりで、だからこそ、この仮説を立てられた。
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