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そうこうするうちに、僕の所持金はどんどんと増え、順番待ちの数は順調に減っていき、ついに念願の面接通知がやってきた。
収容所に入れられてから早3ヶ月。長かった。
財布をすられた時はどうなることかと思ったが、我ながらよく持ち直したものだ。
意気揚々と、僕は天国の役所に入る。
「所持金額も、身元を示す書類も問題ありませんね……」
担当者は無表情に、僕の書類に目を通す。
「じゃあ、今日、滞在許可証がもらえるんですよね」僕は待ち切れずに言う。
「いいえ」
「まだ最後に一つだけ、試験があります」
意外な顔をする僕に、担当者はそっと顔を近づける。
「これは天国の住人の方が全員通り抜ける、秘密の試験です。」
「最近、天国に居住する資格のない人たちの存在が社会問題になっています。彼らは地獄行きになるほど悪い人ではないのですが、ずっと収容所生活から抜け出すことができず、貧困から周辺の治安を悪化させています」
僕は無言でうなずく。一体何の話なのかと思いながら。
「ですから、あなたの最後の試験として、そんな人を一人消していただきたいのです」
言いながら担当者は、一枚の写真を差し出す。
「これがあなたに割り当てられたターゲットです」
僕は声すら出すことができなかった。
そこに写っていたのは、収容所でずっと気にかかっていた、あの女性にほかならなかった。
「交通事故をよそおった形が一番おすすめです」
担当者は最後に、こう小さく付け加えた。
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