変わらない日常

2/13
前へ
/65ページ
次へ
 窓の外から心地よい風が吹いてくる。お経のような先生の話しと相まって、思わず寝てしまいそうなるのを必死に耐えながら、黒板に書き込まれていく文字を淡々とノートに書き写していく。  丁度正面にある時計を見ると、2時になったところだった。この授業が終わっても、まだもう一つ授業を受けないといけないのか、とガクッと項垂れる。  と、視界の端で袋の筆入れから光が少し漏れだしているのが分かった。先生にバレないように中を覗くと、スマホがメッセージの受信を報せていた。席替えで窓際の席になれたから、ちょっとしたずるが出来たのだ。とは言っても堂々とは当然使えないけど。  と思いながらチラッと横の席の女子を見ると、その女子も教科書を壁の様にしてスマホをいじっていた。見ていたのがバレたのか彼女も俺の方を見てきて、口元でシーっしてきたから、俺もそれに合わせて小さく頷く。そして、俺も先生からバレないように中身を漁るフリをしながらメッセージを読んだ。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加