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改心した悪魔
ここにある女が一人、断崖の縁に立って、その遥か下の方の岩に砕ける波の様子をじっと眺めていた。
そうして、今この瞬間に海へ飛び込んでしまおうと思いながら、やはりなかなかその決心がつかないでいた。
「ちょっと、もしもし」
後ろの方で声をかけるものがあったので、ハッと振り返ると、そこにセールスマン風の男が気味の悪い愛想笑いを浮かべて立っていた。
「今、飛び込もうとしていらしたんでしょう」
男はそう言って、ニヤニヤしながら女の方へ近づいてきた。
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