街へ

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しかし、それから奇妙なことが起こった。 どうしたわけか男は女への愛情を取り戻すどころか、急に心臓を押さえて苦しみ出したのだ。 そしてついにはバッタリとその場に倒れてしまった。 「えぇ!ちょっと!どういうこと」 女が男に駆け寄ると既に虫の息である。 悪魔の方を振り返って睨みつけると、彼もまたわけが分からないという様子で狼狽えていた。 「ええと……これは一体どういうわけで……あ!しまった!これは失敬!間違えて普通の鉄の矢のほうを射てしまいましたよ。これは失敬!」 「馬鹿!一体なんて事してくれてんのよ!」 「ああ!全く申し訳ない!こんなはずでは……」 悪魔はパニックになって、かごに捕らえられた虫のように羽をバタバタさせながら部屋の中を跳ね回っていたが、とうとう男の側に落ち着いて彼の胸に刺さった鉄の矢を抜き取った。 すると矢が抜き取られたところから恐ろしい勢いで血がどくどくと流れ出した。 男はしばらくヒューヒューという微かな呼吸を続けていたが、遂にそれも止んで事切れてしまった。
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