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「一体何の用?」
女は図星をあてられて、内心ドギマギしながらそう言った。
「怪しいものじゃありません。きっと私ならあなたのお役に立てると思って、
お声をおかけしたんですよ」
「一体何の根拠があってそんなことを言うのよ?」
「お悩みがあるのでしょう。そしてそれはきっと恋に関わることでしょう」
また図星を突かれたので彼女はドキッとした。
「ええ、そうよ。どうしてだかあなたには分かるみたいね。何年も交際していて、婚約までしていた相手に浮気されて逃げられたの。だからもう全て終わらせてしまおうと思ってね。」
「あはははは。いや失礼。しかし、それで死んでしまわれるのはもったいない。それに、そういうことであれば、間違いなく私がお役に立てますよ。」
「一体どんな役に立ってくれるって言うの?結婚相談のセールスならお断りだから」
「いいえ。そんなつまらないものじゃありません。実は私、こういうものです」
男はそう言って、背中に担いでいたものを目の前に取り出して見せた。それは弓矢であった。
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