改心した悪魔

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「ははは。ご明察ですな。確かに私は悪魔です。ただし私は“元悪魔”と言います。人を悪の道に誘惑するような仕事はもうとっくに辞めてしまって、今では男女の仲を助けるのを専らの仕事としているのです」 悪魔は悪びれもせずにニマッと笑った。 「ふうん。じゃあ、本物のキューピッドじゃないってわけ。元悪魔だなんて、信用ならないな」 「徳を積んでいくと悪魔だってそのうちに天国に行けるのです。一度でもまた悪事をはたらけば台無しになります。この羽をよく見てください。私の体に比べてずいぶん小さいでしょう。本来の悪魔はもっと羽が大きいのです。近頃は全然悪魔らしいことをしていないので羽がすっかり退化してしまったんですよ。このままうまくいけばすっかり無くなってしまうでしょう。これが、私が悪魔を辞めてしまったと言える証拠になります」 「はぁ、そういうものかな……」 女はまだとても信じられないという様子でいたので悪魔はこう提案した。 「では、どうでしょうか。さっそく街の方へ出て、私の腕前をご覧に入れましょう。あなたの結婚相手に相応しい人を見つけてあなたの前に跪かせて差し上げますよ」
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