弓矢

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どうするべきか。中を見てしまおうか。いや、そんなことをやってもし自分の早とちりだったら……。いや、しかしこんなふうに不審ばかり抱いているのも悪い関係性だ。いっそ中を探ってはっきりさせてしまった方がいいに違いない。 そう決心してメールの中身を探ってみると案の定彼女の知らない女との親密なやりとりが記録されていた。 おまけにメールはずいぶん前から続いているらしい。一番初めのやりとりまで遡るのに大分手間取るくらいだった。 一体、相手は誰だろうか。職場の人間か、学生時代の知人か……。それを探ろうと思ってメールを開けていったが、途中で気分が悪くなってやめた。 頭に全身の血がのぼって彼女の頭をぐらぐら揺らしたが、ともかくぐっと堪えてまずは男を問い詰めてみようと思った。 「ねえ、私たちこのままじゃいけないと思うんだけど……」 「ああ、またその話か。だけど結婚はまだ早いんじゃないかな」 「へえ、そう。それは、つまりこういうことだから?」 女は先ほどの携帯電話を男に突きつけてみせた。 彼はあっと小さな声をあげたが、勝手に携帯を見られたことを怒るでもなく、もうすっかり観念してその場に崩れ落ちた。 そして、もうだいぶ前から他の女と付き合っていること、そしてその女に本気になってしまったので、結婚は考えられないと言うことまで白状してしまった。 女はそれを聞きながら、怒りでわなわな体を震わせていた。 拳を固く握りしめて、今にでも男へ飛びかかっていきそうな様子である。
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