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天国にも地獄にも行かないから、毎日が楽しくも辛くもない。
だが、階段に落ちている骨を掃いたり、階段に付いた血を拭くのは精神的にくるものもたまにある。
生活の不自由は何一つ無いのだが、お買い物に行ったり、誰かと喋るということが一切ないのだ。
だが、私のこの生活のなかで唯一の楽しみがある。
それは、週に1度の地獄の王様自らがやられる『地獄点検』の日だ。
週に1度、地獄の様子を確認するために私が掃除中でもお偉いさん方がお通りになられる。
その地獄の王様がとってもイケメンなのだ。
だが、掃除係が王様に話しかけることは禁じられている。法律に引っ掛かってしまうらしい。
だが、私はその王様の姿を見るだけで幸せだった。
20代後半だろうか。スラッとした体型に整った顔。少し長めの前髪を横に流しているのがこれまたいい。
そんな関係が続いていたある日
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