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 私立神母墓(かんもぼ)第二女子学園は滝のなかにあった。  第二ということは第一もあるのかと思い調べると、神母墓第一女子学園はごく一般的な平地の長閑な田園区画のなかに位置していた。しかしながら神母墓第二女子学園だけが人里離れた山奥の、大河を水源近くまで遡った小川の先にある、滝口までの高さが2メートル弱ほどの岩肌に囲われた小規模な滝のなかに存在していた。  生徒たちはみなプリーツのところに若草色の縦模様の入った紺色のスカートを召していた。上着はブレザーで襟のところに白い房が生え、その長さは生徒によってまちまちである。  この姿に私は珍しい茸の菌床が彼女らの肩に蔓延っているかのような強烈なインパクトを覚えた。こんな個性的な制服は全国でもおそらくここだけだ。  なぜ私が神母墓第二女子学園を知ることになったかというと、それは私自身が熱烈な制服マニアであったためだった。  主に女子学生のみの、均等に振られたプリーツの折り目の、その罪深き谷折りの、秘められた底に魅せられて、以来各地を回っては夜な夜な学校に忍び込んで制服を盗み出し、自宅の隠し部屋に集めている。
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