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 遅れてきた資材課の人にこの猫のことをきくと、当然知らないとのことだった。資材課の人だって、ほかの仕事があるため、一日ここにいるわけじゃない。用があれば来るときもあるが、今日はここにきたのはこれが初めてだという。 「おいおい、変なことされてないだろうな」  そう言って慌てて中を確認しだした後ろから、眞光が山尾先輩を連れて戻ってきた。困ったことがあったらまず上司に。そう思って直属の先輩である山尾先輩を呼んだのだが、もう一人、後ろに誰か連れてきている。 「瀬岳部長……」  山尾先輩だけでは判断できないと思ったのだろうか。確かに先輩は僕の上司であるが役付きではない。だったら最初から部長クラスの人に来てもらったほうが判断は早い。  少し息を切らせている先輩と部長にさっきのことを話し、猫の元に連れていく。「あらほんと」「こいつはたまげた」と言っている二人の後ろで、眞光を呼んだ。 「部長連れてくるなんて、ナイス判断だね」 「いやー、俺は呼んだつもりはないんだけどさ。山尾先輩に声かけたら、部長も連れていきましょって言うもんだから」 「なんだ、それじゃ眞光が気を利かせたんじゃないのか」 「俺がそんな仕事ができるやつに見えるか?」  僕がなにも言えないでいると、先輩達のほうでなにやら話がついたようだった。「黎人くん」と僕の名前が呼ばれる。 「悪いけど、この子、向こうにある第三倉庫に運んでもらえる?」 「はあ……倉庫?」 「そんな不安そうな顔しないで、なにも変なことするわけじゃないから」  部長も渋々と言った様子で頷いている。先輩にいいように言いくるめられた、といった表情だった。 「飼い主が見つかるまでの間、面倒みようじゃないの」
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