我に力を

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 最高の武器を手に入れた僕は夕食もとらずに早速練習に向かった。 すっかり暗くなった河川敷公園のサイクルコース。  お姉さんの姿はもう無い。 「よし! 始めよう! 」  顔を叩いて気合を入れると僕はお姉さんの様に颯爽とボードに飛び乗った。  ステン  未体験の感覚に僕は戸惑うしかなかった。重心をそのままに足だけ見事動かされると言う日常に起こりえない体の挙動に背中からまともに落ちてしまったのだ。おかげで息が詰まってしばらく声すら出ない。  まて、落ち着け、RPGで言えば僕はレベル1だ、明日までに最強レベルになればいいだけだ。……無理じゃん……。  いや最強ではなくていい、せめて課題をこなせる程度にまで上がっていれば。  気を取り直してもう一度挑戦だ。勢いが付くから転ぶのだ。真上から飛び乗る様にすれば良い筈だ。お姉さんの真似はそれが出来るようになってからにしよう。  今度はなるべく揺れないようにぴょいと飛び乗る。所がじり……じり……と動いてやはり転んでしまった。  だがさっきよりねばったぞ。まぁ2秒ほどだけど。それでも進歩だ!今確実に僕はお姉さんに近づいている! 「運命のボードよ! 我に力を! 」  僕はボードを掲げてそう叫んだ! ああ、ボードを通して力が入りこんで来るようだ! 魂のボード!僕の相棒! ああ! 光さえ感じる! 視界が眩しい!  そうじゃない! 急な光に僕は目をしばたいた。誰だライトを向けて来るのは!
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