我に力を

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「今奇声を上げていたのは君かね。ここで何やってるの」  中年と思しき声がした。 「はい? 」 「君未成年だよね、名前は? どこの学校? 」  別のもう一人が言う。  僕は掲げていたスケボーを足元に降ろし光を遮って相手を見た。  わかり易い制服だった。 「スケボーしてました」  僕はいかにも趣味といったふうに片足を載せてそう答えた。 「こんな夜中に? 一人で? 」  矢継ぎ早の質問は国家公務員の鑑だ。それはいい。今の僕の最大の問題は……。額の汗のその訳は……。 「ホントに趣味? 」  お巡りさんの言葉が終わらないうちに開ききった僕の両脚は立つ事を諦めていた。 「はい……。 こいつは……僕の相棒です」  結局、警官達に家に帰る様に諭され、仕方なく僕はそこを後にした。  だが懲りるものか!  今度は自転車に乗って離れた所に有る児童公園に場所を移した。ここまで来れば大丈夫だろう。  早速練習を開始した僕だったが、何度も何度も転んでいるうちにスケボーよりも先に受け身が上手くなってしまった。  それでも乗れるようになってきたのではなかろうか。  まだお姉さんの様な優雅なS字ではなくちょっとカクカクするし曲がり方が甘いけど、でも転ばずにここまで行けるようになったぞ。  ただ、ボードから足を放す事が全くできない事が問題だ。  あの軽快なステップを動くボードの上でしなくてはいけないのだから。
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