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スポーツ用品ってのは安い価格帯のは使い物ならない性能だって聞いた事がある。となると、そこそこ値が張る様なもので無いと……。
しかし中学生の手持ちで足りるのだろうか。
暮れて来た空と同様に、今置かれた現実の状況が気持ちを染めて行く。それが自然と視線を足元へと誘おうとしている事に気付いて僕は踏みとどまった。
まだ結果は出ていない。
ともあれスポーツショップに行ってみよう!ホームセンターにもあるだろうか。ぐずぐずしていたら閉店してしまう。たとえ閉まってしまっていても人が居るうちだったら無理を言ってでも売ってもらうんだ!
僕の声はお姉さんに届いた、運命だと思いたい、運命が味方しているんだ、なら間違いなく手に入る。
どんな経緯であれ必ず今日、手に入るんだ!
魔王を倒す勇者が伝説の剣を手にする様に、必要としている者に必要なものはきっとやって来る!
今日中に手に入れなくてはいけないんだから元気を出さなくては。顔を真っ直ぐ向けるんだ!
僕は背筋を伸ばし、顔を真っ直ぐ向けた。視界が広がり世界が良く見えるようになる。と、なんだあれは。
日が没した薄暗がりの中、街灯がまるでスポットライトの様にそれを照らしている。あたかもここを見よと言わんばかりに。
長い坂道の降り着いた突き当たり脇のごみ置き場。その黄色いネットに何かが横向きに突き刺さっている。
…あれは…
僕は息を弾ませてそこにたどり着いた。
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