File.15  策略

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File.15  策略

 そこから一通り萃山に情報を貰って、電話を切る。しばらく、どちらも声が出なかった。  「狂花は……どこかで、自分にもう1人兄がいることを知ったんだろうな。」  鈴夢の声に、頷くことしか出来ない。  自分で籍を移した時、そこで初めて、自分の戸籍などから親戚を辿ったに違いない。そこで、南城彩人という……足立彩人、影山彩人という名前を経て、今は杉町彩人として生きている兄がいると、知ったのだろう。  家族を全員失った後の狂花にとって、大きな励みになったに違いない。  「だけど……いざ出会って、喜んで、狂花に事情を聴いた杉町を待っていたのは絶望。そりゃそうだ、簡単に了承して親戚の家に行ったのは、きっといつしか大きくなってから家に帰る、っていう予定があったから。その予定が全部散った絶望は、俺には分からない。」  杉町は、弟を見つけた! と歓喜していたものの、その後、弟に会った後からは、周囲の人間にこう漏らしていたという。  『弟との再会を喜んでいた自分が馬鹿みたいだ……最悪すぎる……。』  生きているのは一番下の弟だけ、父は自殺、母は狂って顔も分かってもらえない、もう1人の弟は虐めを苦に自殺。  杉町は、何を思ったのだろう。最初は悲しみと絶望しか無かったに違いない。  「それは、いつしか恨みに変わったんだろうな。きっとそこで……狂花が、いや、弟が復讐殺人をやろうとしていることを知ったんだ。大層な台本だ、それなりに書き記してはあったはずだし、それを見た杉町が『協力してやる』と言っても、何も違和感はない。むしろ全部納得がいく。」  全ての発端は飛鳥の死、ならば飛鳥が死んだ原因は何か……虐めだ。  虐めさえなければ、家族が崩壊することは無かった。そう思ってしまったのだろう。
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