Foot Nail

【episode1】食す

「今日の夕飯は何にしようか？」

娘が私の顔を覗き込む。

「何がいいかなぁ。」

チョッピリ高級な品が並ぶスーパーの売り場は美しく興味深いものがたくさん並んでいる。

思いつくままに食材をカゴに入れると私たちは帰路に着いた。

食卓には娘と彼、元夫と私の4人。

何とも奇妙な取り合わせである。

なぜ、元夫と同じテーブルで向き合っているのか。

誠に不思議なのだが、離婚後しばらく気ままに放浪しながら一人暮らしを楽しんだ後、諸事情あり再び住まいを共にしたのである。

元夫と娘の彼はビールを。娘と私はノンアルコールで乾杯する。

「辛ーい！」

ヤンニョムチキンに齧(かぶ)り付いて顔を顰める私に皆んなが笑う。

テーブルいっぱいに並べられたお菜と大切な家族の笑顔。

穏やかな時間を過ごせることに感謝する。

そして、今日も私は皆んなを笑顔にする食材を探すのである。