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【episode6】褒める
「人を褒めるのって良いよね。」
娘が私の顔を覗き込む。
元来、私は人を褒めるのが好きである。
同じ1分なら、ご縁のある人を貶すより、良いところに着目した方が断然有意義な時間を過ごせると思うからだ。
娘にも、その思考は受け継がれている。
仕事で後輩の指導に当たった時、直接褒めるのは勿論のこと『陽口』を大切にしていると言う。
『陽口』とは、当人のいないところで言う褒め言葉のことで、陰口や悪口の対義語とされる造語である。
Aくんという後輩の指導にあたった際、Bさんに「Aくん、最近頑張っているよね。」とか「Aくん、覚えが早いよね。」と言う。Bさんの指導にあたった際に、Cくんに「Bさんって思いやりに溢れているところが素敵だよね。」といった具合に人伝てに褒めるのだ。
本人から褒め言葉を聞くのも光栄だが、人を経由した称賛は、より多くの人に自分の良さを知ってもらえた嬉しさから、さらに誇らしい気持ちになれる。
娘は、この『陽口』を職場で大いに活用しているらしい。
それは、我が家でも健在。
娘と一緒の時間は誰かの良いところを話題にする。
人のことを褒めているのに、陽口に包まれることで、自然とこちらまで笑顔になるから不思議だ。
人も自分も幸せに出来る言葉を大切にする家族に感謝する。
そして、今日も私は褒めさせてくれる人との出会いを探すのである。
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