無くしたイチモツを手に入れる最優の方法

2/6
前へ
/6ページ
次へ
「……夢の中なのに眠くて寝たいのっておかしく無いか……?」 「やっと起きたか佐貫!!」  ボヤいてみるとようやく思考が追い付いてきた。  多少の混乱と驚きからなんとか彼が目を開けると件の美少女は目の前に座り込んで顔を近付けて来ていた。  ストレートな長い金髪が床に垂れている。 「オレ、オレはもうどうしたらいいのか分かんなくて、佐貫だけが頼りなんだ。頼む、すぐに起きて俺を助けてくれ」 「その顔でオレっ子男口調なのかよ。キャラ付けも結構だが解釈違いなんで俺好みに出直してからまたきてくれるか」 「アホか! いい加減マジメに起きろ! 蹴るぞ!」  と、同時に鈍い衝撃が佐貫の腹に刺さる。 「ぐっ。警告じゃないのかよ……」 「宣言だよ。アホ。いいから起きろ。いい加減に目も覚めただろ」  絶世の美少女に朝起こしてもらえるなんて相当のご褒美であるはずだが、なんだか釈然としないものを感じながら佐貫は半身を起こして布団の上でアグラをかいて座った。  目の前の北欧系金髪碧眼少女も片膝を立てながらどっかりと座り込む。かなり行儀が悪い。  よく見れば少女は肩が片方出るほどにダボついたTシャツにブカブカのジャージを履いていた。  自身の美少女顔を全力で台無しにしていくそのセンスの無さに佐貫はガッカリする。平坦ながらに僅かな胸が押し上げているTシャツも、ゴリラが「考える人」のポーズを取りながらロゴに「\賢者ターイム/」と描いてある謎Tシャツであった。   「その訳わからんシャツを着るのが慎之助以外にもいたとは世も末だな」 「それだ! オレだよ! 慎之助だよ! 方頭慎之助だよ!」 「有り得ない。慎之助は身長185センチ体重95キロの筋肉質な雄臭いイケメンで、いつも豪快に笑う大雑把なやつだからちょっと小柄で華奢な美少女に突然変わったぐらいで動じるやつじゃないはずだ」 「いや、流石にそれは誰だって動揺するだろいくらなんでも」 「……それもそうか」  自称慎之助に指摘されて思わず唸る佐貫。  では目の前のこの謎の美少女は何者なんだろうと佐貫が考えていると、少女はなぜか顔を赤らめて横を向き頬を掻いている。 「そ、それにしてもオレのことイケメンだなんて思ってくれてたんだな、照れるぜ」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加