無くしたイチモツを手に入れる最優の方法

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「そうだろ、あんなに毎日トレーニングしていたのに一体どこにいってしまったんだオレの上腕二頭筋。ぐすっ」 「おい、簡単に泣くな。庇護欲誘う絵面がヤバ過ぎて、中身がお前だと分かってても思わず抱きしめそうになるわ」 「え、マ、マジかぁ。照れるなぁ」 「だから何故そこでお前は照れるんだ」  来客用の座布団の上にペタリと座りながら慌てて身だしなみを整え始める少女に佐貫は思わずツッコミを入れる。  やはりなにか頭のイカれてしまった美少女によるヤバげな凶行なのではないだろうか。  だがさっきから密かに親友にメッセージを送ってみても、鳴るのは少女が持ってきたリュックサックばかりであった。 「まぁいい。それで心当たりはあるのか? 元に戻りたいんだろ?」 「まぁこの際それはどうでもいいんだが、必要なモノはあるしな。心当たりか、無くはないが聞いてくれるか」 「聞き捨てならないセリフが聞こえた気がしたが、それは聞かなかったことにしてお前の心当たりを聞こうか」  危険な現実に直面しそうな恐怖から目を晒し、自称慎之助の話しを促す。  おもむろに深く頷くと金髪美少女は腕を組んで語り始める。どんなポーズでも絵になるのが恐ろしい。 「うむ。まずは知人にネット通販で買ったという怪しげなクスリを飲まされ、飲み会で深酒して酔った勢いで神社の稲荷像を壊し、突然足元に不可思議な魔法陣が浮かび上がると見知らぬ異世界に召喚され、悪の魔王を倒す為の潜入用に怪しげなクスリを飲まされ、選ばれし身体の者しか抜けない聖剣を得る為に特殊な魔法をかけられ、肉体改造スライムという不思議な魔物に取り込まれ、人類を救う為に魔王の花嫁に変装する必要に迫られて呪われたウェディングドレスに身を包み、敵対する二人の魔王をまとめてなます斬りにした際に正体不明の強力な呪いをかけられ、なんとか帰ってきたら不審な博士に捕まって謎の手術の実験台に無理やりさせられ、未来から来た超能力者の宇宙人に正体不明の目からビームで撃たれ、帰路に見慣れない酒屋で知らない銘柄の酒瓶を買い、しこたま飲んではっと気付いて朝起きたら何故か女になっていたんだ」  ツラツラと語られた。  嘘みたいに衝撃的な話の数々を。  思わず佐貫も叫んでしまう。
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