おやすみの理由

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おやすみなさい。 彼女は笑顔でそう言った。 だから私も笑顔を向けた。 ささやかで穏やかないつものやりとり。 彼女は優しげな笑みを浮かべると、背を向けて部屋を出た。 私はおもむろに起き上がると、ポケットに入れていたあるものを取り出した。 それは白銀に煌く、一丁の拳銃。 ひんやりと冷たいそのボディを額に当てると、静かに瞳を閉じた。 ーー私は今日、彼女を殺害する。
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