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母がある言葉を発するようになったのだ。
それは…「おやすみなさい」。
私がうなされるようになってまもなくのことだ。
深夜の暗闇の自室がある日、ゆっくりと開いた。
確かな足音。
その足音の主は間違いなく母だった。
私のベットの横で、母はぴたりと立ち止まった。
思わず、固唾を飲み込む私。
ただならぬ空気感に、体を硬らせたその瞬間、確かに母は言ったのだ。
おやすみなさい、と。
はっきりと、確かなイントネーションで。
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