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3・アンツ14歳
14歳になったアンツはそのことをいつも懐かしく思い出す。
本当にはじめにいい人に出会うことができたものだと、その幸運に感謝もする。
ロゾたちのパーティに7人目のメンバーとして正式に入ってから一年が経った頃、パーティは全滅した。
魔王には直属の配下が12人いる。そのうちの一人であるジェトロマイが率いる第6団。その中の一小隊によって焼き尽くされたのだ。
あの業火の中で、自分だけが何故か生き残った。
アンツはその小隊への復讐を誓った。
ところが、早々にそれは挫折することになる。
どこのパーティも相手にしてくれないのだ。それは実力不足。
アンツが10年の寿命と引き換えに手にした剣術程度では、戦力としてみなされなかった。
快く承諾してくれたかと思えば、眠っている間にわずかな金品や武器を奪われそうになる。昏睡状態にされて奴隷商人に売りつけられそうになる。そんなことばかりだ。
まだ10歳の少年の扱いなどそんなものだった。
自分のペットにならないかと言われたこともある。
そんな経験をして、ロゾたちが金を奪うことも奴隷として売り飛ばすこともしなかったことに誠意を感じる。自分を育てようとしてくれていたことも。
だからこそ、アンツは早く強くなりたかった。強くなれば、新しいパーティに入れてもらえる。強くなれば、なめられない。
アンツは例の店で寿命を売りまくった。それに従って強さを得ることができた。
その甲斐あって、今では「緑頭のアンツ」はそこそこ名が売れている。
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