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収容区は壁で囲まれた地区であり、その最深部に『アルクタ民』が住んでいる。そこは穢れた場所とされ、クラシュクの民であっても決して足を踏み入れることはない。だが、鬱屈した日々の中で楽しみを見つけてしまった4人は嬉々としてそこに踏み入った。
その『アルクタ民』の居住地の更に奥。そこに“悪魔の穴”はある。
そこは草一本生えていない岩だらけの土地だった。
『アルクタ民』の住居さえもない。
その中をアンツ少年をぶら下げた4人は歩く。
足を進めるたびに少年の怖がりようが強くなり、それがおもしろくて推進力になった。
ゲラゲラと笑いながら小走りで“悪魔の穴”と呼ばれる洞窟に到着した。
「本当に穴があるな」
「よく知ってたなお前」
「別の緑野郎いじめたときに知ったんだよ。それで連れて来てやったらギャーギャー騒いで怖がったんだ」
4人はギャハハと笑う。
「“悪魔の穴”なんて大袈裟なこと言って馬鹿じゃねーの。どうせゴミ捨て穴だよ」
「ゴミ捨て穴か。こいつら“ゴミ捨て穴の番人”とか言われてるからな」
「こいつもゴミだから捨てちゃおうぜ」
4人はまたギャハハと笑った。
少年をぶら下げたまま穴の中へと入る。
少年は恐怖で震えながらも、すでに声すら出ないほどに怯えてしまっていた。
穴の大きさは子供たちならば十分に入る程度。中へとどんどん入って行く。
「前の時はすぐに出て来てつまんなかったからな」
「じゃあ。もっと奥で出られないようにしてやろう」
4人はしばらく進んだ後に、少年を地面に落とし、執拗に蹴った。
「これだけ痛めつければしばらくは出て来れないよな」
「ざまあみろだ。緑野郎。本当は存在しちゃいけないんだ。お前らなんて」
4人は口々に少年に罵声を浴びせるとその場を去って行った。
少年は責苦がやっと終わった安心感で気を失ってしまった。
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