1・ゴミ捨て穴の番人

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収容区は壁で囲まれた地区であり、その最深部に『アルクタ民』が住んでいる。そこは穢れた場所とされ、クラシュクの民であっても決して足を踏み入れることはない。だが、鬱屈した日々の中で楽しみを見つけてしまった4人は嬉々としてそこに踏み入った。 その『アルクタ民』の居住地の更に奥。そこに“悪魔の穴”はある。  そこは草一本生えていない岩だらけの土地だった。  『アルクタ民』の住居さえもない。  その中をアンツ少年をぶら下げた4人は歩く。  足を進めるたびに少年の怖がりようが強くなり、それがおもしろくて推進力になった。  ゲラゲラと笑いながら小走りで“悪魔の穴”と呼ばれる洞窟に到着した。 「本当に穴があるな」 「よく知ってたなお前」 「別の緑野郎いじめたときに知ったんだよ。それで連れて来てやったらギャーギャー騒いで怖がったんだ」  4人はギャハハと笑う。 「“悪魔の穴”なんて大袈裟なこと言って馬鹿じゃねーの。どうせゴミ捨て穴だよ」 「ゴミ捨て穴か。こいつら“ゴミ捨て穴の番人”とか言われてるからな」 「こいつもゴミだから捨てちゃおうぜ」  4人はまたギャハハと笑った。  少年をぶら下げたまま穴の中へと入る。  少年は恐怖で震えながらも、すでに声すら出ないほどに怯えてしまっていた。  穴の大きさは子供たちならば十分に入る程度。中へとどんどん入って行く。 「前の時はすぐに出て来てつまんなかったからな」 「じゃあ。もっと奥で出られないようにしてやろう」  4人はしばらく進んだ後に、少年を地面に落とし、執拗に蹴った。 「これだけ痛めつければしばらくは出て来れないよな」 「ざまあみろだ。緑野郎。本当は存在しちゃいけないんだ。お前らなんて」  4人は口々に少年に罵声を浴びせるとその場を去って行った。  少年は責苦がやっと終わった安心感で気を失ってしまった。
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