偽物と呼ばれた侯爵令嬢の人生やりなおし計画

偽物聖女の最期

（どうしてこんなことになってしまったの…？）

寒い冬の日だった。
薄暗い空から、雪が静かに降っていた。

民衆の視線が注がれるのは薄汚い処刑台。
ぼろぼろの囚人服を着た女がいた。

彼女の名はアリスティア・グレイス・ハワード。
ローランド王国建国当時から続くハワード侯爵家の一人娘として、大切に育てられた彼女は、つい数ヶ月前までは社交界の花としてもてはやされた絶世の美女だった。

しかし、輝くようだと讃えられたシルバーブロンドはツヤをなくし、白く透き通っていた肌はくすみ、サファイアのようだと言われた瞳は光を失っていた。

“ハワードの青薔薇”と称された輝くような美しさは見る影もない。