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奇妙な出会いと果実酒
「もう討伐してきたのか!?」
店の主人であるセトが、目を剥いた。
無理もないことだ。なんせ依頼を受けて三時間後のことだったから。
――冒険者は主に、それぞれの町や地方にあるギルドにその身元が登録される。
極たまにもぐりの冒険者という未登録者もいるが、だいたいの場合はこれだ。
そしてそこから、日々更新される依頼を受けるという流れ。
このルイト・カントールもまた登録冒険者であり、国一番のすご腕狩人と呼ばれていた。
今回だってそう。
通常なら二人以上のパーティでこなすクエストと、たった一人で。しかも受注して数時間で達成してしまったのだ。
それだけでも、この青年の実力がわかるというもの。
「ま、楽勝だったけどな」
得意満面に応えたルイトは、大ジョッキの麦酒をあおる。
ここは街に多くある酒場のひとつ。
我が国。
大国エアリクルムの玄関口ともいえる町には、沢山の人々が行き交っている。
商売人から旅人。そして兵士たちや、全国から集まった冒険者達まで。
人種も種族すら違う者が共存する、いわば大都会。
当然、歓楽街には様々なタイプの酒場や風俗店が多くひしめいている。
「ふーっ。オヤジさん、もう一杯」
「あいよ」
ルイトの飲みっぷりの良さに酒場の主人、セトは顔をほころばせる。
(あぁ。やっぱりここがいい)
もっと沢山の種類の酒を飲ませる店なら、片手で足りないくらいあるだろう。極上の女をはべらせることの出来る、サービス満点の店だって。
しかし彼はここが良かった。
田舎から出てきて、最初に入ったこの店が。
昔ながらの酒場、という感じの。温かみのある雰囲気や、常連たちの和やかな様子。
そして何より。
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