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「ねぇねぇ、花櫚(かりん)小学校の七不思議って知ってる?」
まだ少し舌足らずのような、小学校低学年特有の幼い口調で少女は問う。
「え、なになに?知らない!」
「シッ、声が大きい」
少女が興奮を隠しきれずに答えると、もう1人の少女は周りを見回して口元に人差し指をたてた。
「まだ教頭先生がお話してるんだから、おしゃべりしてるのがばれちゃうでしょ」
そう言われれば少女は口元に両手を添えて、大きく頷いた。その様子に満足すると、人差し指をたてたまま少女は小さな声で話し出す。
「校庭の横に花壇があるでしょう。夕方、下校時刻を過ぎた頃に側を通るとね、泣き声が聞こえるんだって」
「誰の泣き声なの?」
「もうー鈍いなぁ。…幽霊に決まっているでしょう」
話していた少女が肩まで伸ばした髪をわざと顔にかかるようにして笑うと、聞いていた少女は「きゃあ」と小さく悲鳴をあげた。
「あ、馬鹿…」
話していた少女が注意をするが、時すでに遅し。2人の少女の後ろには若い男の先生が立っていた。
「君達、始業式の最中は私語禁止だよ」
「ごめんなさい…」
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