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「おっはよー!」
爽太は元気よく挨拶をしながら教室の扉を開いた。朝の会の前のこの時間はクラスメイトのほとんどがおしゃべりに花を咲かせている。教室の中では大小さまざまなグループがそれぞれ盛り上がっていた。
「おはよう…」
近くにいた女子生徒が挨拶を返してくれるが、目が合ってにこりと笑いかけると慌ててどこかへ逃げてしまう。他の生徒も爽太と目が合えばすぐに逸らすか逃げてしまう。傍から見れば異常だが、爽太にとってはいつものことで正常である。爽太はそんなクラスメイトの様子を気にすることなく自分の席に着く。後ろを振り向けば、龍太郎は勉強を、琴子は読書をしていた。
「龍太郎、琴子おっはよー!」
「…おはよう」
「おはよう。ハカセは朝からうるさいね」
挨拶をすればそれぞれが返してくれる。目が合って笑いかければ、龍太郎は無表情だが目を逸らさずに、琴子は小さく笑って小言を言ってくる。爽太にとってその反応は新鮮だった。
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