2.調査開始。失敗ばかりの3人組!

4/19
前へ
/147ページ
次へ
「ねぇ、2人とも。今日も休み時間とか使って調査する?」 「もちろん!」 「…あまり気はのらないけど係りの仕事だから」 「おっけー。今日も頑張ろう」  爽太がそう言えば2人は頷いてくれる。自分が起こした行動に対して相手が反応をしてくれるのがこうも胸がくすぐったくなるというのを、爽太はこの1週間で知った。  爽太の担任に任命された「謎解き特化クラブ」。クラスメイト達はお手伝い係と思っているが、実際は先生から与えられた七不思議、花壇から聞こえる泣き声について調べる行動をしている。その任務が与えられたのがちょうど1週間前。放課後に職員室に向かう前に初めて話した龍太郎と琴子は、爽太と同じ様にクラスで浮いている存在だった。 龍太郎は、オールシーズン半袖短パンで、何もない所でよく転んだりぶつかったりしている。腕も足も日に焼けてはいるが絆創膏だらけ。でもテストは常に満点で、寡黙な龍太郎にクラスメイトは気味悪がっていた。  琴子は小学校に上がった頃に廊下ですれ違ったことが印象的だった。今まで見たどんな人物よりも幼いが、整った顔立ち。背筋を伸ばして歩く姿が子供には見えなかった。学年が上がるごとに美少女という言葉が似合うようになっていた。でも、琴子の周りに人がいる所を見る事は1度もなかった。なんでも1年生の頃から毎年空手で全国大会優勝の猛者らしく、怖がられているらしい。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加