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「…ハカセ、話しにくいから少し離れて」
「やだ」
「…ハカセ」
龍太郎は鋭い目つきで爽太を見るが、距離を取るよりも速く話を聞きたい。爽太は動かず龍太郎を見つめ返す。
「……はぁ。わかった、もういいやこのままで」
龍太郎は小さく溜息を吐く。おでこをつけたままの爽太と、爽太の隣にいる琴子へと順に視線を向けた。
「…確かなことはまだわからないけれど、13年前にこの小学校で2人、行方不明になった人達がいる」
ごくり、と息を飲んだのはどっちだろうか。爽太は目を瞬かせ、琴子は眉間に皺を寄せる。
「…聞こえてきた話によると、花壇からの泣き声の七不思議が出来たのはこの事件の後。花壇から聞こえる泣き声は女の子の声らしい」
「じゃあその行方不明になった2人って、女の子だってこと?」
琴子の問いに龍太郎は小さく首を振った。
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